スケルトン拡大装置について

スケルトン拡大装置は、主に小児矯正(Ⅰ期治療)で使用される上顎を拡大するための装置です。この装置は、上顎の骨の正中にある縫合部(正中口蓋縫合)をゆっくりと広げることで、顎の成長を促し、永久歯が生えるスペースを確保することを目的としています。

一般的な急速拡大装置と同様に、スケルトン拡大装置も固定式の装置で、患者さん自身で取り外すことはできません。通常、左右の奥歯や小臼歯に金属のバンドを装着し、それらを金属のワイヤーで連結して、中央にあるネジで左右に拡大する仕組みになっています。

保田矯正塾では、このスケルトン拡大装置を用いた治療において、一般的な1日に1~2回ネジを回す急速拡大ではなく、1週間に2回という緩徐拡大法を推奨しています。その理由として、緩徐拡大の方が生体組織に優しく、保護者の方の負担も軽減できるため、非常に好評であるとされています。

スケルトン拡大装置を使用する主なメリット

鼻呼吸の改善

顎を拡大することで鼻腔も広がり、口呼吸から鼻呼吸への改善が期待できます

永久歯のスペース確保

顎の幅を広げることで、永久歯が正常に生えるためのスペースを作り出すことができます

非抜歯矯正の可能性

十分なスペースが得られることで、将来的な抜歯のリスクを減らすことができます

床矯正やマウスピース矯正で難しい症例にも対応可能

シンプルな技術ながら、これらの装置では対応できないケースでも良い結果が得られることがあります

治療の際には、歯科医師が装置を装着し、保護者の方が指示に従って装置中央のネジを専用の器具で回して、少しずつ顎を拡大していきます。治療期間は患者さんの状態によって異なりますが、上顎が適切な幅まで拡大されるまで続けられます。

この治療法は、上顎の骨がまだ柔らかく成長段階にあるお子さん(一般的に6歳から15歳くらいまで)に特に有効とされています。

保田矯正塾では、このスケルトン拡大装置を用いた治療法を、一般歯科医が習得し、自信を持って臨床に取り入れられるように指導しています。